お点前をする人への挨拶と感謝の気持ちの表現を混同していた
今日の稽古で、掛け軸は前回と同じ「耐雪梅花麗(雪に耐え梅花麗し)」だったが、花入は黒い敷板の上に置かれ、よりフォーマルな形になっていた。
しかも、唐金と言われる錫と銅の合金製。格式の高い花入なのだそうだ。
敷板もよく見ると、端っこが、矢筈のようになっている。
釜は雲龍釜。
ちょっとした道具の取り合わせの変化で茶席の雰囲気はガラリと変わる。それが茶道の面白さだ。
薄茶のお点前では、炉か風炉かで大きく変わり、釜の蓋の形状や水指の蓋の種類によっても微妙にお点前が変わる。
そんなお点前の難しさにばかりに気を取られていたら、基本的なところが何もわかっていないことに気がついた。
お茶をいただくときは、まず茶碗をやや左に置き、隣の客に「お先に頂戴いたします」と一礼する。そして、茶碗をやや右に置いて、お点前をしてくれた人に「お点前頂戴いたします」と一礼する。
次に、茶碗を左手にのせ、右手をそえて感謝の気持ちをこめて、押しいただく。
この部分、お点前をしてくださった方に感謝の意を表するのだと思っていた。だから、「お点前頂戴いたします」と言うのと、押しいただく行為がいつの間にか一つになって、押しいただく動作の直前に、茶碗を持ちながら、「お点前頂戴いたします」と言うようになっていた。
長年、茶道をやられている方々は、こんな基本中の基本、間違える方がおかしいと思われるのかもしれないが、二つの感謝の行為を別々に表現する方が非合理と思っていたのだ。
しかし、今日、理解した。
「お点前頂戴いたします」はお点前をしてくださった方への感謝。そして茶碗を押しいただくのは、「いただきます」と言って手を合わせるのと同様、貴重な飲み物をいただくことへの感謝、自然の恵みや神様に対する感謝なのだと。それならば、二つの感謝の行為が別々に存在するのも理解できる。
せっかくなのでその後の動作も書いておこう。
茶碗の正面からいただくことをさけるため、右手で手前に2度まわしてから、まず一口味わい、一言「結構なお点前でございます」などと感想を言う。飲み終わった後、人差し指と親指で飲み口を清め、その指先を懐紙で清め、茶碗を手前から向こうへ2度まわして元に戻す。両手をついて茶碗の全体を拝見し、もう一度茶碗をまわして茶碗が出された位置に返す。
こうした行為を畳の縁の内側で行うか、外側で行うかなどまだよくわかっていないところもあるので、さらに教えていただく必要があるが、概ね、こんな流れだ。
お菓子は美味しく、楽しい茶道だが、まだまだ覚えなければならないことが信じられないくらいたくさんあるようだ。