ライフワークバランス
仕事と私生活を両立させるというワークライフバランスという言葉。退職して、「仕事も好きな時にする」ようになると、この言葉、仕事偏重のように感じる。ライフワークバランスというのが自然な表現なのではと思う。
ではなぜ、ワークライフバランスなのか。
1日24時間。仕事するには時間が足りなすぎる。仕事は、全てに優先すると決めて、なりふり構わず全力で打ち込まないと、こなせないーーからではないのか、と最近思う。その中でなんとか私生活の時間を増やそうというのがワークライフバランスだ。
逆に、ライフを重視して残りの時間でワークしようとすると、ワークはなかなか進まない。犬の散歩をして、朝ごはんを作って、買い物に行って、料金や税金の振り込みをして、テレビドラマやNetflixを見てーーなどと「ライフ」に好きなだけ時間を使っていると、読書時間もあまり取れないし、その結果、勉強が進まず、取材の準備も遅れ、「今日も何もできなかった〜」となる。
新聞社にいた時は、2週間後に締め切りだ〜、と焦りまくって、取材先を探し、準備的な取材から着手。専門家に取材するために本もたくさん読み、人にたくさん会った。新聞社にいたからすぐに人に会えたとも言えるが、2週間でものすごく仕事が進んだ。
ところが今は、ライフ一色で、ワークは隅に追いやられている。
ライフを犠牲にしない限り、やはりワークは進まないのか。
生活ジャーナリストを名乗るからには目一杯生活を満喫しなければと思うのだが、日々、暮らすだけで取材や書く段階になかなか進まない。
新聞記者時代は、タイミングがなによりも重要だったので、取材を急ぎ、タイムリーな記事に仕立ててきた。
でも、仕上げの仕事をする今、タイムリーにこだわることが、もはや不要なのかもしれない。急がない。時間をかけて、一つひとつのインタビューや記事を仕上げる。ライフを重視して、その中でワークするでもいいのではないか。
ワークをしながらどうプライベートを大事にするか、という現役時代とは真逆のライフワークバランス。しかし、高齢退職者はこのライフワークバランスを考えることが、きっと大事なのだ。