65歳は現役と変わらない？

　65歳はまだ現役。雇用は70歳まで延長すべきーーと言うのが、世の中の正論のようになっている。けれど、この議論は、65歳というものがわかっていないと感じる。

　現役、老後と二つに分けるのが、そもそも無理なのだ。

　我が家の92歳の義理の母は、ウルトラマンのようだ。

　食事が終わるとせっせと後片付けをし、お皿を洗い、キッチンをピカピカにしてしまう。しかし。

「あー、しんど」と言って、すぐにバタンキュー。寝込んでしまうのだ（笑）

　3分でカラータイマーが点滅してしまい、スーパーパワーを発揮できなくなる。

　私も、「高齢者」になったことを実感する時間が増えてきた。でも、起きたばかりは力と意欲がみなぎっており、現役以上の元気さだ（よく寝ているからね）。

　つまり、現役でいられるかどうかは、「元気でいられる時間の長さ」次第ではないか。

　高齢になって起業できるかという議論がある。

　ライフネット生命を起業した出口治明さんにインタビューしたことがあるが、彼が起業できたのは30代の相棒がいたからかもしれない。一人で起業するとなると徹夜もするなど無理もしなければならず、シニア世代にはハードルが高い。

　「瞬間若者」というのが、65歳になっての実感だ。

どんどん「高齢者」時間が侵食してくる。

　高齢者の知見、優しさと、現役の若々しさというバランスを保ちながら、残る人生を過ごしていきたい。