好き!→LINEブログの残骸(2021.12~2023.3)

僕の好きなもの、好きなこと。好きってなんだ?

S君は、老後を総決算の時期ではなく夢を実現する時間と捉えていた!

 自分以外の人のことは知っているつもりでも、ほとんど知らないーー。そう思って、今年は、知人、友人と積極的に会って、話をしている。相手のことがよくわかってくると楽しい。今日は高校2年の時の同級生、S君と、中野のカフェで会った。
 彼はコロナ禍の前に会って中野の居酒屋で一献。その後コロナ禍真っ最中にLINEで「相川元気か。ひまだったら、最後から2番目の飲み会やらない?」と彼からメッセージが来た。「最後から2番目」ってどういう意味だ?もう飲むのは最後にしようという意味?考えているうちに返事をしないまま1年半経ってしまった。

 彼はすこぶる元気だった。写真を撮るのを忘れて食べて、話していた。ほとんど食べ物も無くなっていて、ブログ用の写真を撮っていないことに気づいた。目の前の空いた皿では絵にならない。仕方なく、漫画カメラで撮影した。
 当時、たまたま、小泉今日子主演のドラマ「最後から二番目の恋」を再放送か何かでみて、感動。このフレーズを使ったらしい。
 そんなの知らん。
 いまどきのドラマ「silent」のフレーズだったりしたらわかるかもしれないが、最後から2番目は見ていないし、10年前のドラマだ。「最後から2番目の飲み会」って、もう死ぬのが近いからという意味?と思い、心配していたが、取り越し苦労だった。
 彼によると、もちろん、体はだいぶガタが来ているらしい。なんでここにこれが置いてあるの!?と、驚くことが最近多く、認知症も心配という。
 定年退職後、彼は、演劇の舞台監督をしている中学の友人の助手を務めていた。演劇では演出家が一番偉いが、舞台監督も、舞台の大道具小道具、照明、音楽など、役者の演技以外の世界を司る仕事なので、稽古から本番までずっと、関わっていく。何度も上演するので、途中で飽きてくるのが難点だが、面白かったという。その仕事もコロナ禍で演劇の上演がほとんどが中止になり、なくなってしまったという。友人の舞台監督は、いまは、その技術を、大学の講師として教える仕事が中心になっているらしい。
 今月はたまたま舞台の仕事が入っているが、舞台の仕事は少なくなったので、最近は、週2回、マンションの管理人の仕事をしているという。マンションの管理人が有休を取った時などのピンチヒッターの仕事。マンションの管理会社の面接を受けて採用され、研修も受けてから始めたという。1日8時間の仕事だ。

 でも、マンション管理、警備、軽作業、交通整理…。頭文字がKの、「いかにも高齢者向きの仕事」を彼がしているとは思わなかった。清々しく淡々と勤めているようで、そこは彼らしい。

 ITはもっぱらプライベートで使っている。パソコンはMacBook Air。私と同じだ。「形から入るんだ」と、彼は、MacBook Airを使っている理由を明かす。

 で、パソコンで何をしてるの?と聞いたら、「断片的だけど冒険小説を書いている。これも形から入ろうと万年筆と原稿用紙を用意したけど、パソコンの方が便利なので」。
 彼が好きなのは、トム・クランシー(「レッド・オクトーバーを追え」は読んだ)、アーサー・ヘイリー(「マネーチェンジャーズ」は読んだ)、、ジェフリー・アーチャー(有名な人で、本のタイトルもいくつか知っているが、読んだことはない)ら海外の作家。
 日本人だと山崎豊子
 そうか、彼は映画やテレビドラマの原作にもなるようなドラマチックな作品が好きなんだ。舞台監督の助手として、飽きるほど舞台を見続けていたことも栄養になっているのかもしれないーー。
 塩野七生の「ローマ人の物語」は文庫版43巻を全て読んだという!
 私の場合、セカンドステージは、一言で言えば、「総決算」の時期。現役時代にやり残したことをきちんと仕上げたい。それは高齢者の生き方としては、至極真っ当なことと思っていた。
 けれども、結局、「現役」を引きずっている。
 仕事は、高齢者にありがちな頭文字がKの仕事をしていても、彼の心は、ロマンの世界へ。いいなあ。

 S君とは、大学生活の最後の春休み、伊勢丹で一緒にアルバイトをした。なんの伝票だったか?売り場から伝票を集めてくる仕事で、二人で一緒にすることができた。4月から私は日経の記者。彼は小売業の世界に。私が手にするのはAJ(朝日ジャーナル)。彼が手にするのは「JJ」。若い女性のファッションを研究していた。それから43年も経った。
 
 彼は「山歩きは途中で倒れたら誰も助けに来てくれないかもしれないが、街なら救急車をすぐ呼べる」のと、「冬はトイレが近くなっている」という理由で、歩くのは好きだが街歩きをしているという。「最近は渋谷が多い」。
 なぜ渋谷?
 「冒険小説の舞台が渋谷だからリサーチしている」。
 彼とはこれから、月に一回、一緒に街歩きをすることにした。歩きながら、いろいろな話ができそうだ。