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伝統文化となごみの広場が室礼研究家の山本三千子さんを講師に招き、室礼の勉強会(ココログ2022.12.5)

 特定非営利活動法人 伝統文化と和みの広場(三鷹市)が、12月4日、三鷹市にある高橋和子代表の自宅で室礼(しつらい)の勉強会を行った。講師の室礼研究家、山本三千子さんが、「お正月の室礼」として正月らしい飾りや盛り物を和室に展示。それを解説しながら、季節の「もの」に言葉や心をどのように盛っているのかを解説した。

 お茶のお点前でもてなしていただいた後、会場に入ると、玄関や広い和室に正月らしい飾り付け。新年の集まりに来たような気分になった。

 一富士二鷹三茄子。りんごが「ふじ」。
 玄関には、神社のすずに見立てた晩白柚(ばんぺいゆ)を使った盛り物。
 皿に盛った緑色の大きな実が東岸。正面が蒟蒻芋
 床の間。真ん中に飾られているのは仏手柑(ぶっしゅかん)。
 鶴と亀。
 山本さんは「最近の住宅は床の間や神棚など、ご先祖様、神様と交わる祈りの空間がなく、そんな環境で伝統的なものをどう繋げていくかが難しい」と話した。

 山本さんは新潟県十日町の出身。縄文土器が出土する地であり、米作が盛ん。冬は雪に覆われていた地域だ。

 そんな山本さん。1985年の群馬県での日航機墜落事故で夫を亡くした。その一周忌で南宋瓶華といういけばなの流派の家元が「まな板るようなものが床の間に盛っているのを見て驚き」室礼に関心を持ったと言う。

 芽の出たカブを取り出して、盆に盛る。これは「おめでとう」という意味がある、と話す。

 このように、日本人は、「ものに想いを寄せて、伝えできた」と山本さん。その後もものにどんな想いを託しているのかを解説してくれた。


 柑橘類の盛り物は吉に通ずる。

 冬瓜のつるは、万代に続くという繋がりを表している。

 門松は、ご先祖様や神様を「待つ」。

 美しさやデザインだけを考えて盛り物を作っているわけではなく、そこに言葉や心を盛っているのだ。

 お盆は女性を表す赤(朱色)と男性を表す黒が表裏になっており、男女和合を示しているという。

 五色の紐。五色は陰陽五行で、いろいろな意味を持つ。青は春であり、「仁」を意味する。同様に、赤は夏、「礼」。黄色は土用、「信」。白は秋、「義」。紫(黒)は、冬で「智」。

 衣食住のあらゆる分野。着物、野菜や果物、そして床の間や道具などをすべて使って気持ちを表現する。

 おおもとにあるのは、お天道様の光と大地、水。これによって人々は果実を得る。カ(日、火)とミ(水)で神なのだという。土着の精神。

 初めて聞いたお話なので、十分理解できたわけではないが、あまりに細分化された現代人の生活を、室礼の心で一つにすることは、心の安定や人々の活力を高めるために、とても重要と感じた。

 お話の後、先生に私が農業をしていることを話すと、たとえばネギはねぐ(祈ぐ)に通じるということを教えてくれた。土の中のネギは真っ白。こころを真っ白にして祈るということなのかもしれない。

 う〜ん。奥が深い。農作業、茶道、俳句なども一つに繋がってきた。室礼は、実は家の中のことを指すだけでなく人の生活全般を整える知識なのだと思った。

 とても面白いお話だった。